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2010年5月28日金曜日

Theoraってどうなるの?

GoogleによるVP8のオープンソース化は、マルチメディアのOSS化を望んでいた人々にとっては大変喜ばしい出来事なのですが、以前からこの問題を考えていた人にとっては、少々複雑な気持ちにさせる問題も孕んでいたり……。それは今まで我々の拠り所であった、もう1つのOSSビデオコーデック「Theora」についてです。

普通に考えればTheoraよりも新しい世代のコーデックであるVP8がOSS化された時点で古いTheoraを捨てて、VP8に乗り換えればそれで済む訳ですけど、以前からTheoraを見守ってきた私のような人間からすると少々忍びないと思うのも事実でありまして。まぁお世辞にもTheoraが普及しているとは言えない状況なのでVP8がある今となっては、無理して普及させる必要性は皆無なのは私にもわかるのですけどね。無理矢理にTheoraのこれからを考えてみようかと思います。

まずTheoraの開発はこれからも続くのかという問題。答えは「イエス」。というのもTheoraの前身となったビデオコーデックはVP8と同じ開発元(On2)の「VP3」。名前からもわかるとおりVP8の以前のシリーズですね。ちなみにVP3は2000年にリリースされているようです。最新のVP8がアナウンスされたのが2008年で買収のゴタゴタがあったとはいえ、実際にリリースされたのが今年ですから、約10年前のコーデックですか。実際にはVP6で大きく変化しただけで技術的にはそこまで大きな差はないのかも。もちろん古いですけど。

そんな感じでVP8とTheoraは基本的にはベースが同じなようでMonty氏のコメントを読むとVP8からのフィードバックにより、Theoraもまた進歩する余地は十分にあるしVP8とともにTheoraの開発も進めるとつもりだと書いてあります。まぁリップサービスの可能性も十分にありますけど。

ただ既にTheoraのビットストリームは凍結されているのでVP8の技術を使って(互換性を維持しつつ)大きく変化させるという事は出来なさそう。って書いている自分もよくわかってませんけど。間違っていたらごめんなさい。その画質ですがVP8のレビューで大きな波紋を呼んでいる例のx.264の開発者さんですら、Theoraの画質はXvidに匹敵する程度になってきているし、最終的にはXvidを超えるかVC-1(WMV9)に匹敵するレベルには到達するのではないかとブログに書いてありましたし。特に今開発中の次期1.2、コードネーム「Ptalarbvorm」はx.264の開発者の助言によって更なる進化を遂げるようですし。確かSSIMについてのアドバイスをしてくれたとかどうのこうの書いてあった気が……。うろ覚えですが。

余談ですがPtalarbvormの解説サイトがあるのですが、そこに何故か「東方妖々夢」のスクリーンショットが(笑)。先日のSteamクライアントの件といい最近ワールドワイドに注目されているなぁ。なんて実際のところ東方みたいな弾幕ゲームの動画は貴重なサンプルとしてビデオコーデックの評価によく使われるらしい。「Lossless Touhou」という名前で広く流通しているらしい。なるほど、たしかに弾幕がウジャウジャ湧いているのはエンコード殺しになりそうですしね。Ptalarbvormの東方サンプルですが目視でわかるくらいに改善されてますね。

そんな感じで画質的にはXvidに匹敵するくらいにはなりそうなTheoraですが今時のハイビジョンのストリーミングは画質はともかくサイズ的に厳しいものがありそうです。逆に云うとSD画質までなら、そこまでサイズ差は出ませんしQVGAサイズなら特に問題なく使えそうな気がします。ハイビジョンも画質だけなら十分なくらい綺麗でした(Big Buck Bunnyで確認)。サイズ的にはx.264と比べると厳しいかな。BBBだとTheoraで866MB、x.264だと691MBだったので、少なくともBlenderの人達は200MBくらいの差があると判断している訳で。これを帯域料で考えたら相当な差になりますからね。特にYouTubeクラスのサイトならなおさら。素直にH.264のライセンス料を払った方が安上がりですし。

そうなるとこれからのTheoraの使われ方はストリーミングよりも、ローカルでの再生、あるいは録画の方が使い道がありそう。ストリーミングもSDクラス以下ならまだ何とかなりそうな気がしますけど。例えばP2Pでのエンコード、デコードとか。ぶっちゃけSkype的な使い方ですね。後はPCに限らない用途とか。例えば防犯カメラとか、車載カメラとか。他にもローエンドの携帯電話での再生とか。その為には画質優先の開発から低負荷でのエンコード、デコードの開発に主眼を置いた方がより現実的なのかもしれません。あとVP8はH.264のようにいくつものプロファイルを乱立させる訳ではなさそうなので同じようなライセンスで既にあるTheoraを低負荷用のコーデックとして推奨するというのもアリなのではないかなぁと個人的に思っています。

これに関連しているかはわかりませんが、私が以前書いたARM向けの最適化とTIのDSPへの最適化が最近になって話題になっていました。特にARMの最適化はGoogle自らがスポンサーになって開発を後押ししていたようです。我ながら先見の明があったななんて(笑)。この2つの最適化は幸運にもPandoraでも恩恵を受けられるので美味しいですね。まぁ今となってはあんまり使わないけもしれないけど。長い割には何が書きたかったのかイマイチわからなくなりましたが、せっかく苦労して開発してきたTheoraですから、これから先も何かの役にたってくれると嬉しいのですけどね。

#外部リンク
Theora update 20100518
http://people.xiph.org/~xiphmont/demo/theora/demo9.html

Open source codec comparison
http://saintdevelopment.com/media/

Interesting times for Video on the Web - Google Open Source Blog
http://google-opensource.blogspot.com/2010/04/interesting-times-for-video-on-web.html

Matthew Gregan — Theora On N900
http://blog.mjg.im/2010/04/16/theora-on-n900.html

Big Buck Bunny
http://www.bigbuckbunny.org/index.php/download/index.php

#内部リンク
BLOG.MINAWA.NET: ARM向けOgg/Theora/Vorbis最適化
http://blog.minawa.net/2009/09/armoggtheoravorbis_4386.html

BLOG.MINAWA.NET: libtheora 1.1 (Thusnelda) stable release
http://blog.minawa.net/2009/09/libtheora-11-thusnelda-stable-release_7822.html

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