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2010年5月20日木曜日

Xiph + Matroska + Google = WebM

ふぅ。遂にこの日が来てしまいましたね。既にご存知の方も多いと思いますがGoogleがOn2のビデオコーデック「VP8」をBSDライセンスでオープンソース化し、更にXiphのオーディオコーデック「Vorbis」とオープンソースで開発されているマルチメディアコンテナフォーマット「Matroska」のサブセットを一纏めにした「WebM」プロジェクトを発表したようです。一言で言えば「素晴らしい」です。

以前から個人的にXiphのコーデックに興味があり、自分のブログでも妄想混じりに取りあげていたのですが、まさかこんなに早くオープンなウェブマルチメディア環境が実現するとは思っていませんでした。いやTheoraについてはむしろ遅すぎというか、(大々的に)普及するには手遅れかもなぁという感じはしていたのですが、VP8のオープン化がここまで早いとは正直驚きです。それだけGoogleも危機感があったという事なのだと思いますけどね。何せ仮想敵であるH.264はPC環境に限ればWindowsとMacの両方(最新OS)がデフォルトで再生可能になっている訳ですから。

話が長くなるので端折りますが、正直言ってGoogleだけで考えれば大金を払ってまでOn2を丸ごと買う必要性なんてなかった訳です。H.264はライセンス料が発生するといってもストリーミング側が無料サービスなら(今のところ)料金は発生しない(らしい)し、クライアント側(Chrome)も、法外に高い訳でもない(プライスキャップ制で上限4億くらい?)し、ましてGoogleの資金力からしたら本当に微々たる数字でしょうし、というか今でも既にH.264のライセンス料払っている訳ですしね(Chromeのみ)。

それを何故、わざわざ100億円以上の大金を払ってOn2を買収し、更にその財産とも言える最新コーデックであるVP8をオープンソース化(しかもBSDライセンス)したのか? これはもう「Googleだから」としか言えないですね(笑)。普通の企業ならまず無理かと。

ここからは素人の妄想ですが、Googleも特にVP8に拘りがあった訳ではないと思います。性能面、普及度から見れば、むしろH.264の方が(少なくとも)1枚上手でしょうし。ライセンス料だって年間4億(Chrome)なら10年でも40億円で済むし、既に円熟期に入りつつあるH.264を10年後も使い続ける可能性の方が低いでしょうしね。それをわざわざ(多少)劣るとされるVP8を100億円で購入するなんて。普通ならないですね。だって10年後には現在と同じ価値がある訳ではないのですし。その頃には新しいコーデックが主流になっているでしょうしね。

なら何故買ったのか? まぁいろいろと理由はあるでしょうが、おそらくVP8が独占的技術(とされている)だからだと思います。逆にH.264は大企業連合がオーナーだったのが問題だったのだと思います。特にマイクロソフトやアップルといった独占的企業や日本の家電メーカーといった旧来型のメーカー。そこにGoogleが参加したとしても、たいしたイニシアティブは発揮できず、大胆な行動がとれずに終わるでしょう。そうなるとH.264の次の世代も、現世代と同じようなままで開発されてしまい結局、今と同じような問題をウェブの世界に持ち込んでしまう事になるのを恐れたのではないかと邪推してしまいます。

On2の技術(VP8)は完全なプロプライエタリコーデックであり、そのせいで長年主流になれずにいた訳ですが今回のGoogleの買収により、一気にウェブの救世主たりえる「可能性」を手に入れた訳です。On2の言い分によるとVP8はMPEG系の技術とは別の技術らしいので、パテント問題も回避出来るはず……なのですが、正直ちょっとあやしいところはあるみたいです。そこをH.264系企業に突かれると少々危ない気もしますけどね。

ちょっとおもしろいのが、今回の件でついでに発表されたパートナー企業の顔触れです。MozillaやOperaといった直接関係のある企業やSorensonといったOn2のライバル的企業(VP8がBSDライセンスなので独自で開発するのかな)や、AMDやARM、MIPSやTIといったPCから組み込み系までのハードウェア企業の賛同も取り付けているようです。こうやってみると見事に家電系のメーカーがいませんね。そりゃそうか。そういった企業は既にH.264側ですからね。

ここまで手を回しているのは流石にGoogleですね。結局、今のVP8に足りていないのはこういった実際のハードウェア系との親和性ですからね。そうみるとPC環境以外に普及する可能性は思ったより大きいのかもしれません。本当はまだまだ書こうかと思ったのですが、長くなったのでとりあえず終わります。いつものように何の専門家でもない素人の戯言なので、あまり本気にしないでください。

#追記
ちょっと最後に付け足します。結局何が言いたかったのかというとGoogleは必ずしも現世代(VP8)で、MPEG(H.264)に勝利しようという気はないのではないかという事です。真の狙いは、これからのウェブ世界の重要課題であるビデオコーデック開発の主導権を従来のMPEG連合からGoogleを盟主とするウェブ派企業(旧来の家電メーカーではなく、ARMやMIPSといった組み込み系も含む)連合に移す事なのではないかなぁと。一度移せば、よほど強い利害関係が無ければMPEGに引き戻そうというメーカーも限られそうですし。

Googleとしても後はAndroidみたいに回りのメーカーやOSSコミュニティなんかが勝手に進めてくれそうとか思ってたりして。とにかく、より自由なウェブ環境を構築して今よりもより多い人間をウェブに引き込む事がGoogleの目的でしょうしね。となるとマルチメディアコンテンツの無料(低廉)化を促進して、先進国以外の国々のウェブ依存度を高めることが重要になるでしょうし。

現状、家電メーカーとかは昔からの付き合い等でMPEG側にいる企業もありそうですし、そういったメーカーは次世代からはGoogleにおんぶにだっこした方が開発費が浮くしいいかもと思ってたりして。別に積極的にビデオコーデックの開発をしている企業なんてそんなに多くないだろうし。まぁ妄想ですけどね。

#追記
ちなみに今回の発表ですがXiphの中の人達は当然知っていて、現在Ogg Theoraを開発しているTim氏は既に数週間前からVP8のソースコードと格闘中らしいです。正直あんまりキレイなソースコードじゃないらしい(苦笑)。まぁそれよりももっと酷かったTheora(VP3)を何年もかけてキレイにしていたTheoraの人達は別に驚いてないそうですが。むしろ、そういった経験が既にあるからまだまだ開発に貢献出来ると息巻いているようです。頼もしいですね。

#追記
H.264のライセンス料ですが、むしろ、音声コーデックのAACの方が厄介(高い)らしい。

#Picasa

The WebM Project | Welcome to the WebM Project
http://www.webmproject.org/

Monty - I, FOR ONE, WELCOME OUR NEW WEBM OVERLORDS
http://xiphmont.livejournal.com/50239.html

#内部リンク
BLOG.MINAWA.NET: Ogg Theora
http://blog.minawa.net/2005/09/ogg-theora_1440.html

BLOG.MINAWA.NET: Ogg Speex
http://blog.minawa.net/2005/10/ogg-speex_1859.html

BLOG.MINAWA.NET: Ogg Theoraの新バージョン
http://blog.minawa.net/2006/06/ogg-theora_68.html

BLOG.MINAWA.NET: Democracy
http://blog.minawa.net/2006/10/democracy_7540.html

BLOG.MINAWA.NET: PenguinTV
http://blog.minawa.net/2006/10/penguintv_6955.html

BLOG.MINAWA.NET: Theora 1.0 released
http://blog.minawa.net/2008/11/theora-10-released_5300.html

BLOG.MINAWA.NET: Google Chromeが気になる
http://blog.minawa.net/2009/04/google-chrome_7060.html

BLOG.MINAWA.NET: Chromiumが結構いい感じ
http://blog.minawa.net/2009/06/chromium_9922.html

BLOG.MINAWA.NET: chromium-browser --glen
http://blog.minawa.net/2009/08/chromium-browser-glen_8161.html

BLOG.MINAWA.NET: The BBC RAD
http://blog.minawa.net/2009/09/bbc-rad_8773.html

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