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2011年9月18日日曜日

Doom3エンジンのオープンソース化における一抹の不安

大仰なタイトルですが単なるおっさんの戯言です。前回Doom3のオープンソース化にXrealエンジンの開発者が興味を示しているという明るい話題を書きましたが、今回はちょっとした問題点について駄文を披露したいと思います。といっても技術的な問題点という訳じゃないです。どちらかという政治的? な話ですかね。

以前このブログで「Nexuiz」というオープンソースなFPSを代表するゲームについてのイザコザを書いた事があります。簡単に説明するとNexuizとは今回のDoom3エンジン(iDTech4)と同様にiD SoftwareがOSSとして公開したQuakeエンジンを基にコミュニティが独自に開発してきたFPSゲームの事です。そのNexuizが家庭用ゲーム機(Xbox360&PS3)に移植されるというニュースが去年の話です。

その際、同ゲームのエンジンとして採用されている「DarkPlaces」のオリジナル開発者自らが家庭用ゲーム機向けに改良調整を施しているという話が話題になっていました。しかし暫くした後にNexuizの家庭用ゲーム機版はDarkPlacesエンジンではなくCrytek社が開発している「CryENGINE 3」に変更すると同ゲームの開発元である「IllFonic」からアナウンスされたのです。

ビジネスの話なので実際にどういった経緯でこのような変更がなされたのかは不明(語られているかも知れませんが、私の情報不足でわかりません)ですが、直前までDarkPlacesで開発されていて、なおかつエンジンの開発者自らが省メモリ対応等の改良まで行っていたのに何故? とOSSコミュニティから疑問の声が上がっていました。

あくまで私の仮定ですが恐らく原因はDarkPlaces及びNexuizのライセンス問題。正直Nexuizのライセンスがどのようになっているのか把握していませんが基本的にGPL版のQuakeエンジンに依存しているのでGPLだと思います。最近のFPSゲームにおける解釈では核となるエンジン部分はGPLだとしてもゲームに必須であるキャラクターモデル、マップ、音楽、シナリオ等は、いわゆる「Asset」と言われる独立したコンテンツとして別のライセンス、例えば「Creative Commons」で保護されるというのが主流になっているようです。

Nexuizはかなり古いゲームなので、そこまで分化されていないのではないかと思います。そうなると今までの開発協力者全員にライセンス変更の承諾を得るか未承諾部分のコード、アセットを別のモノに変更しなければならない可能性すらあります。あくまで私の意見ですが。またコード自体はGPLだとしてもコミュニティドリブンなプロジェクトな場合、よほど強力なリーダーが居ない限り言葉は悪いですが、お金儲けの道具としてコミュニティの成果物を使用していいのかという感情的な問題も出てくるでしょう。今回の場合も主要開発者全員が一致した考えではなかったようですし。

Nexuizのゲーム機版のアセットに関してはIllFonicがプロのデザイナーを雇用して全く新しいキャラクター、マップ等を用意するとの事でしたが、残念ながらその成果物をオープンソースとして公開せずにゲームエンジンであるDarkPlacesの改良点をコミュニティに還元するという話で調整中だったようです。先程も書きましたが最近の見解では、それで特に問題が無いという考え方が主流なのですがNexuizコミュニティの強硬派は納得せずにかなり揉めていたようです。かなりうろ覚えでデマを書いてしまったかもしれませんが(苦笑)。

一部不満はありましたが、コミュニティ側は一応ケリが着いたようでしたが問題は移植先、XBOX360とPS3のソフトウェアライセンスだったのではないかと私は思っています。というのもNexuizのライセンスはGPLですのでXBOX360とPS3のラインナップとしては認められなかったのではないかと。

これは何もゲームコンソールだけの問題ではなくiPhoneのApp Storeも基本的には禁止だったと思います。現状だとAndroidマーケットくらいじゃないですかね。GPLでもOKなのは。あぁもしかしたらSteamでも大丈夫なのかな? いずれにしろXBOX、PS3、iPhoneという今一番稼げるゲームマーケットではGPL製品は受け入れてもらえないのではないかと。

Nexuiz以外にも「Urban Terror」というQuake3派生のゲームも似たような事例が発生しているようです。このUrban Terrorは元々Quake3のModとして開発されていたのですがQuake3エンジンがGPLでリリースされた後、Quake3エンジンの改良版であるioquake3エンジンをベースとしてスタンドアロンなゲームとして開発を続けていたようです。しかし、つい最近になってioquake3ベースで改良していたバージョンを廃棄して、何とiD SoftwareからQuake3エンジンの商業ライセンスを購入しての独自開発に路線変更したらしいのです。その際に名前も「Urban Terror HD」と改めたみたいです。

何でわざわざQuake3エンジンの改良版で実績もあるioquake3を捨てて商業ライセンスのオリジナルQuake3エンジンに切り替えたのかは正式なアナウンスはしていないようですが、私はおそらくNexuizと同じ理由なのでは無いかと疑っています。通常通りのPCゲームとしては、GPL版でも特に問題ない訳ですからね。といってもUrban Terrorはソースを公にしていないと一部のコミュニティメンバーから非難されてはいましたけど。

そういったイザコザが嫌だったというのもあるかもしれませんが、わざわざお金を出してまで、商業ライセンスを買ったという事は、やはりXBOX360やPS3、もしかしたらiPhone辺りで商業ゲームとして売り出したいという考えがあったのかもしれません。その為にはGPL汚染を認めないプラットホーム向けに商業ライセンスを買わざるを得なかったと。

まぁ妄想ですけど。事実まだUrban Terrorは商業プラットホームでは展開していませんけどね。それにioquake3の改良点は主にLinux向けのモノでWindowsユーザーにはそれほど恩恵が無いという意見も数人の開発者からは聞かれますし。例えばXrealの開発者であるTr3B氏も、そのようなコメントを以前していましたし。

この問題は、ほぼ同じライセンスでオープンソース化されるであろうDoom3(idTech4)にもそのまま当て嵌る事例だと思います。勿論XBOX360やPS3、iPhoneなんかで一稼ぎしようなんて考えていない人からしたら何の問題もない訳ですし、カーマック氏もオープンソース化の主な理由はこれからFPSゲーム開発を目指している若いプログラマー達の良い教科書となるようにという思いからですけど一攫千金のボーナス目当てでDoom3エンジンでゲームを開発したい開発者を見過ごすのは得策ではないと思いますし。

せっかくオープンソース化されたのにメリットが無いと多くのゲーム開発者を惹きつける事が出来ずに結局は廃れてしまうのは余りに勿体無さ過ぎますし。特にWindows環境ではUDKやCryENGINE、Unityといった優良ツールがほぼ無償で使えたりする訳ですから。結局Linuxユーザー兼ゲーム開発者といったニッチな需要しか無いという悲惨な状況になりかねませんし。ではどうすればいいか? 長くなったので次回へ続く。

#外部リンク
Forest Hale interview about Nexuiz and open-source | Time Doctor Dot Org
http://timedoctor.org/2010/03/forest-hale-interview-about-nexuiz-and-open-source/

[Phoronix] Nexuiz Gets Forked, Turned Into Xonotic
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=ODA4OA

[Phoronix] Urban Terror HD: Going Away From Open-Source
http://www.phoronix.com/scan.php?page=news_item&px=ODc3Mw

#内部リンク
BLOG.MINAWA.NET: NexuizとXonotic
http://blog.minawa.net/2010/09/nexuizxonotic_7277.html

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